伊勢にあるダイビングショップ『ジップス』ではHSA(ハンディキャップド・スクーバー・アソシエーション)のカード取得講習コースがある。これは障害者を対象としたスクーバーダイビングの認定書。本人の障害の程度に応じて、3段階のレベルからいずれかに認定される。
障害の種類だけでは分からない部分をインストラクターが講習中に判断し、通常バディ(相方)が1人のところを2人にするなど、より安全を計らってのレベルが判定される仕組み。陸上ではできないことでも、水中では浮力を生かして、できることはたくさんある。
まず、ダイバーは中性浮力を完璧に覚えるのが第一とか。「水の中に入れば誰もがハンディキャッパーですから、障害は関係ないですよ」とオーナーの幸田さん。現在、15名のHSAダイバーがジップスから認定を受けている。初めて水の中で呼吸することは誰もが戸惑うもの。身体的な問題でなく、潜ることに一番重要なのは水を恐れないなどの精神的な部分。それらをクリアすることにより、陸上での自信にも繋がっていくのかもしれない。
<オススメ・ポイント> 回数を重ねるごとに海の楽しさ実感 |
8年ほど前、友人にスクーバーダイビングを勧められた時、「そんなの無理!」と思ったが、よくよく聞いてみると、障害者でもダイビングができるショップが伊勢にあるという。じゃ、話だけでも聞きにいこうと、軽い気持ちだったのが、気が付けば、いつの間にか講習に通う自分がいた。
生まれて初めて潜ったのは南島町方座。最初、海中では周りを見る余裕も無く、こんなのでいいのか?大丈夫なのか?と不安だらけ。しかし、回数を重ねるとだんだん潜る楽しさ、海の素晴らしさが分かってくる。そんなわけで無事、県下初障害者ダイバー誕生!もちろんペーパーダイバーにはならず、現在は潜水歴60本以上。主に南島町や紀伊長島のポイントを利用し、パラオ、沖縄、徳之島などのビッグツアーにも時々参加する。
仲間も車椅子の扱いに慣れ、外国では現地の人もやさしく、車椅子でも全然不便は感じない。みんなときれいな海を眺めながら美味しいものが食べられるのも楽しみのひとつ。ぜひ海の世界を覗いてみて。世界が広がるよ。
【Kさん・32歳 頚髄損傷・車椅子歴12年】
|